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運命交差点(前編) ◆DNdG5hiFT6 (――柔らかい) 頬に触れた手は子供の持つ質感と温かみをノーヴェの手のひらに伝えてくる。 目の前で失ったはずの姉に良く似た顔立ち。 サファイアのような蒼いの瞳に吸い込まれるような錯覚を感じた。 それは甘美な夢。ナンバーズの姉妹がみんなそろって、笑っている夢。 ナンバーズだけじゃない。ドクターも、スバルも、ギンガもみんな笑っている。 ああ、それはどんなに幸せな世界だろう。 「ノーヴェ!」 だが何処か電子音じみた片言によってノーヴェは現実に引き戻される。 声の主はタンクローリーの後部座席から降りてきたロボは 重たい足音を立てて2人に近づくと、ブリキじみたレトロなボディをその間に割り込ませた。 その行動はどこかノーヴェを庇っているようにも見える。 「アナタノ、オ名前ハ?」 「……僕はドラス。お姉ちゃん達は?」 「ワタシはロボ、落ち込んでイルのがメカ沢、この子はノーヴェといいマス」 「な、なあ……お前、セインって奴を知ってるか?」 ロボの体越しに恐る恐る目の前の存在に問いかける。 「さぁ? 僕も良くわからないんだ。 目が覚めたらここにこの姿でいたってわけ」 その答えにがっかりすると同時に、どこかほっとする。 これが“他人の空似”って奴なのだろうか? 「……情報の交換ヲ行いたいのデスがいいデスカ?」 未だに落ち込んでいるメカ沢を尻目に、ロボが主体になって情報交換を始める。 と、いっても互いに大した情報を持ち合わせているわけではなかった。 ドラスは戦闘を避けてきたというし、こちらにしても大して人と接触したわけではない。 直に情報は途切れ沈黙が降りるが、その沈黙に乗りかかるようにドラスは笑顔を浮かべる。 「そうだ、僕も一緒に連れて行ってくれない?」 天使のような微笑を浮かべて、ドラスは畳み掛けるように口を開く。 「それに急いでるんじゃないの? 何処か急いでたみたいだけど?」 ドラスのその言葉に思い出す。 そうだ、こうしている間にもゼロがピンチに陥っているかもしれないのだ。 何でもいいから早く駆けつけないと―― 「おい、誰か来るぞ!」 だがその焦りは立ち直ったメカ沢の声に遮られることとなった。 緊張を含んだメカ沢の声に、彼の視線を追って3人は南方に目を向ける。 そこにいたのは高速でこちらに向かってくるボードで中空を滑る隻腕の少女。 ロボとメカ沢は警戒の色を見せるが、ノーヴェはその姿を確認し、目を見開く。 彼女の姉妹の持つ特殊武器・ランディングボードに乗って短い髪をなびかせるのは見覚えのある蒼い髪。 それはかつての仇敵であり、もう一つの“姉妹”でもある彼女の姿。 そしてこの場所で初めて会えた顔なじみであった。 「スバル!」 「ノーヴェ!?」 ノーヴェの姿を認めたスバルは器用にボードを操ると、急停止。 スバルは顔をほころばせながら、地上に降り立った。 「良かった無事だったんだねノーヴェ。心配したんだよ!」 「べ、別に心配なんかされる覚えは無い!」 照れくさくて思わず口を突いて出た悪態に軽い自己嫌悪に陥るノーヴェ。 だがスバルは笑って許す。 ああ、いつものスバルだ。 チンク姉が自分をいらないなんて言ったのはきっと何かの間違いなのだ。 ……と、そこまで考えて初めてノーヴェはスバルの右腕が無いことに意識が向き、目を見開く。 「!? お前、その腕いったい……」 「大丈夫。ノーヴェは何も心配しなくていいんだ。だから――」 自分を安心させようと微笑むその笑顔は自分の知る少女のものだ。 だが、 「下がってて。今、こいつらを片付けるから」 そう言い放った少女の顔は自分の知らない顔だった。 元々敵同士。そんなに仲が良いわけでもない。 だが、こんな冷たい表情を浮かべる少女では決してなかったはずだ。 「ス、スバル……?」 恐る恐る呼びかけるノーヴェ。 だがスバルはそれに答えず、そのままメカ沢たちの方へと突き進んでいく。 メカ沢もその様子に異常を感じ取ったのか腕を構え、再び警戒の色を濃くする。 「おい、どういうつもりだ?」 「決まってる……お前達を全部、壊す」 そして少女の口から放たれたのは過激すぎる一言だった。 その言葉に誰よりも驚いたのはノーヴェだ。 一瞬聞き間違えたかと思ったほどに、その少女には似合わない言葉だったから。 そうだ、もしかして自分がが襲われていると誤解したんじゃないだろうか? 「だ、大丈夫だって! 確かにちょっと変な格好だけどこいつら悪い奴じゃないし!」 ノーヴェは慌てながらスバルの前に回り込む。 だが自分を見返したスバルの瞳を見て恐怖する。 そこに映っていたのは何処までも広がる虚無の闇。 自分の知るスバル・ナカジマが決して持ち得なかった暗い影。 「ああ、そっか……ノーヴェも本物って保障は無いんだっけ。 だって、ドラス君と一緒にいるんだもんね」 視線に本物の殺意を乗せて、黄金の瞳で睨みつけられる。 黄金の瞳――戦闘機人モード。 それはスバルが本気だと言う事の証に他ならない。 「ス、スバル……どうしたんだよ……」 敵対していた時だって、ここまで冷徹な目を向けられたことはなかった。 恐怖と、そして幾らかの悲しみに自分でも知らない間に後ずさるノーヴェ。 だがそのノーヴェを庇うようにメカ沢のドラム缶のような体が割ってはいる。 一層強い視線で睨みつられるが、メカ沢とていっぱしのワルだ。ガンの付け合いなら負けたことは無い。 「オイ、“壊す”だと!? テメェ、人の命を何だと思っていやがる!」 「人命は大切だよ? だから偽者は倒さなきゃならないじゃないか!」 ――ダメだ、話が通じねえ。完全に頭に血が上ってやがる。 メカ沢の辞書に敗走という文字は無い。 本来ならここで一発ヤキを入れて、目の前の少女の目を覚まさせてやるのが常道だ。 だが、ここで自分が無闇に突っ込んで、ノーヴェやドラスに何かがあれば後悔しきれるものではない。 故にメカ沢は歯噛みし、苦渋の決断を下す。 「ちっ……一度引くぞ!」 「で、でもゼロが!」 チンクも救う、ゼロも救う。その覚悟が逆にノーヴェの足を止める。 それにおかしくなってしまったスバルをそのままにしておくことに対しても未練が残る。 だが迷うノーヴェの瞳をメカ沢のが真正面から覗き込んだ。 「おい、アイツは……ゼロは弱い野郎か!?」 「――違う!」 信じられない出来事の連続に迷い、戸惑うノーヴェ。 だがその答えだけは迷うことなく、即座に口を突いて出た。 仮面の怪人との激闘を間近で見た自分は知っている。 ゼロの強さを。どんな逆境でも諦めないその強さを。 「だったら信じろ! 奴は死なねえ、生きて絶対に再会するって信じるんだ!」 「負けない……生きて……再会……」 ノーヴェは自分に言い聞かせるように繰り返す。 その言葉は希望となって、ノーヴェの心を強くする。 だが、その刹那の隙を狙って蒼い弾丸となったスバルが踏み込んでくる。 その踏み込みの疾さにその場の誰もが反応できなかった。 いや、たった一人だけ狙われたメカ沢だけが反応することが出来た。 だがメカ沢ができたのは精々誰かを守ること。つまりノーヴェを突き飛ばすだけで精一杯だった。 そして拳の進む先にはメカ沢の無防備な体だけが残された。 ――やべえ。 背筋に冷や汗が流れる。 喧嘩に明け暮れてきた日々が、眼前に迫る拳のヤバさを知らせている。 タフさには人一倍自信があるつもりだが、あの一撃はケタが違う。まさに必殺の一撃だと悟る。 だがメカ沢の辞書に“諦め”の2文字は無い。 ハカイダーとの戦いで分かっている。 自分みたいに“ケンカ慣れしている”程度、この場所では何のメリットにもなりはしないのだ。 だが、だからといって自分を曲げることなど出来はしない。 なんといっても自分は不良なのだ。そして不良には通すべき“スジ”ってものがある。 例え自分が無力な存在としても腹の底から声を張り上げ、想いを、生き様を叩きつけてやる! 「不良を……なめんじゃねえええええっ!!」 だが、その時不思議なことが起った。 先ほどまで唸りを上げ迫っていた拳が空中に縫い付けられたように停止している。 それどころかロボも、ノーヴェも、ドラスも、まるで時が本当に止まっているかのようにすべてが静止していた。 ――どこかで聞いたことがある。 一流のスポーツ選手は150kmを超えるボールがとまって見える時がある、と。 脳内のアドレナリンだかなんだかが関係しているらしいが学の無い彼にはわからない。 それにそんなことはどうでもいいことだ。今の彼にとって重要なのは目の前に決定的な隙が出来たということ! 「う、おおおおおおおおおおおお!!!」 千載一遇のチャンスにありったけの力を込めて右腕を振るう。 想いのこもった重く、深いその一撃は唸りを上げてスバルの腹部へと叩き込まれる。 カウンターを喰らった形になったスバルの体は、あまりにも軽く、工場の瓦礫の中へ突っ込んでいった。 「へっ……ざまあ見やがれ……おい、ノーヴェ、大丈夫か?」 突き飛ばしたノーヴェの方を見る。 だがノーヴェは狐につままれたような表情でメカ沢を見ている。 周囲を見渡せばドラスも似たような表情だし、ロボからも驚きの感情が見て取れる。 「お、おまえ……今、瞬間移動しなかったか?」 「は? 何言ってやがる。夢でも見たか? っと、それよりも今のうちにズラかるぞ、ロボ、嬢ちゃん!」 言うや否やタンクローリーに乗り込んだメカ沢はギアを切り替えると、工場に突っ込んだ先頭部分を道路に引き戻し、 。 「みんな、乗れ!」 「……了解デス」 「嬢ちゃん? 僕、男の子だよ?」 「お、そりゃわりぃわりぃ。……と全員乗り込んだな! しっかり捕まってろ、とばすぞ!」 平たい足がアクセルを乱暴に踏み込み、激しく揺れながらもタンクローリーは発進する。 その車体の中で4人はそれぞれ思考する。 ――ロボは遭遇時のメモリーを呼び覚ます。 ドラスに対して何故、こうも警戒しているのか……実はロボ自身も良くわかってはいない。 だがドラスにノーヴェが触れた瞬間、上手く言語化できない感覚がロボの中から湧き上がってきたのだ。 ロボはクロノたちと共に古代から未来まで多くの時間を旅してきた。 平行世界といっても差し支えないほど変貌した幾多の世界を。 その多彩な経験はどんなセンサーよりも雄弁に危機を伝えた。 あえて言語化するならば人間が悪寒と言うべき感覚を持って。 (気のせいならばいいのデスが……) だが子孫や兄弟ならともかく、ノーヴェの姉とここまで似ているのは不自然だ。 さらにスバルという少女の言葉の意味を考えるに、変貌にこの隣の少年は関わっているのではないだろうか?という疑念が生まれる。 だがその不審を口にすればノーヴェたちに動揺を与えてしまうかもしれない。 だから気付かれぬよう、隣に座る少年に注意を向ける。 ――ドラスは心の中で舌打ちする。 隣に座るこのポンコツは案外優秀なセンサーを積んでいるみたいだ。 取り込んでもおいしくなさそうだし、隙を見て壊さないとね。 だけどそれ以外の2人には利用価値がある。 スバルお姉ちゃんが魔法という力を持っていたみたいに、このノーヴェお姉ちゃんも何かの力を持っている可能性は高い。 それに目の前で運転する不細工なロボットも瞬間移動をしていた。 瞬間移動……あのZOでさえ持ち得なかった力。 それを手に入れれば僕は神の座に近づくことが出来る。 かくて一人の科学者の狂気が作り出したネオ生命体は哂う。 より神に捧げられた供物に舌なめずりをしながら。 彼にとって、世界の全ては贄でしかないのだから。 ――ノーヴェは変わり果てたスバルの姿に動揺していた。 スバル自身の変貌も勿論気になるが、ノーヴェの脳裏に浮かんだのはこちらを冷たい表情でみるチンクの姿。 馬鹿な考えだと分かっていてもその想像はとんでもない恐怖を呼び起こした。 「おい、また馬鹿なこと考えてるんじゃねえだろうな」 隣に座るドラム缶は視線を前に固定したまま、こちらの心を見透かすような一言を投げかけてくる。 「べ、別に馬鹿なことなんて考えてない!」 「こうなったら2人も3人も同じだろうが! あのスバルって女も救うって決めて見せろ!」 「分かってる! そうだ、チンク姉も、ゼロも、スバルもあたしが救う! 助けてみせる!」 大言壮語だ。それを為すにはノーヴェの力はあまりにも小さい。 だけどやらなきゃいけない。彼らの力を借りて。 (チンク姉……ゼロ……) 今にも消えそうな勇気を、ここにはいない2人の姿を思い起こすことで奮い立たせる。 そしてスバル以外にも今のノーヴェには守るべきものがある。 ミラー越しに見えるのは失った姉に似た少年の姿がある。 (今度こそ、守って、見せる……!) もう二度と失わないためにノーヴェは決意を新たにする。 その対象が悪魔だと気付かぬままに。 ――メカ沢はハンドルを握りながら、横目でノーヴェの顔を見る。 その顔に浮かぶ決意の色を見て表情には出さずに笑う。 (へっ……いい顔になってきたじゃねえか) それにこの世界だって捨てたものじゃない。 念じればさっきみたいな奇跡は起きるのだ。 ……彼は知らない。 それは奇跡などではなく、飲み込んだチップが発動しただけだということに。 (彼の用いた運用方法からすれば、それは十分奇跡と呼べるのかもしれないが) ともあれ、タンクローリーの運転にも慣れてきた。 ここはあのゼロって奴の強さを信じて、少し時間を置いてから助けに行くべきだ。 そうすれば6人の大所帯。仲間がコレだけ集まれば反抗の狼煙を上げることも可能な気がしてくる。 その想像にメカ沢は心躍らせる。 (待ってやがれシグマ……今に俺が、俺たちがヤキいれてやるぜ!) 誰よりも無機質な表情でありながら、その心は誰よりも熱く燃えていた。 4人を乗せてタンクローリーは走る。 4つの心はバラバラなままで、疑心と悪意と決意をないまぜにして。 そして最初の放送まであと、わずか―― 【D-1 コロニー間道路/早朝(放送直前)】 【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:疲労(中)、精神的動揺(弱) [装備]:スタームルガー レッドホーク、装弾数4/6@ターミネーター2 [道具]:支給品一式、不明支給品0~1(未確認) [思考・状況] 基本:チンク姉と会って話しをする 1:ドラスを守る! チンク姉を救う! ゼロを助ける! スバルを救う! 全部達成する! 2:メカ沢、ロボを信頼。 ※本編終了後の参戦です。 ※ゼロからゼロの世界及びシグマに関する知識を得ました ※メカ沢の力を瞬間移動と誤解しています。 【メカ沢新一@魁!クロマティ高校】 [状態]:全身打撲。疲労小 [装備]:タイムストッパー@ロックマン2in体内 [道具]: [思考・状況] 基本思考:シグマにヤキ入れる! 1:とりあえず離れて作戦会議だ! 2:ゼロとか言うキザな金髪男を助けに行く 3:チンクに軽い失望。だが、正気に戻させる! [備考] ※携帯端末の使い方を全く理解していません。よって現在位置、参加者、支給品を把握していません ※メカ沢の携帯端末が修理工場内のどこかに落ちています。 ※タイムストッパーは使用できるようです。 ただし本人は使えることに気付いていません。 【ロボ@クロノトリガー】 [状態]:健康 [装備]:液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 [道具]:支給品一式、PDA×3(ロボ、アラレ、シュトロハイム)、ぎんのいし@クロノトリガー HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2(E-3道路に放置):ロボのPDA はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置) メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置)、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS(シュトロハイムの右腕) 拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。転送可能 [思考・状況] 基本思考:打倒シグマ。 1:ドラスを警戒 2:メカ沢と共に行く 3:協力できればストライクスピンが撃てるかも…… [備考] ※少なくともクロノ復活以降からの参戦です。 ※現在位置、参加者名簿を確認しましたがメカ沢も把握済みだと思い伝えていません。 ※メカ沢が携帯端末を失くしたことを知りません。 ※ロックマンの武器チップの使い方を誤認しています。 ※メカ沢の力を瞬間移動と誤解しています。 【ドラス@仮面ライダーZO】 [状態]:健康 右腕がスバルのもの。 [装備]:荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル。ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG。 セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている(両方ついているかは、お任せします) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本思考:自爆装置とリミッターを外す。その後参加者を全員殺す。優勝したあとシグマも殺す。 1:怪しまれずにロボを排除する 2:ノーヴェ、メカ沢を利用尽くす。 3:T-800の排除。悪評を広める。 4:仮面ライダーとおよぼしき参加者の排除、もしくは吸収。 5:自爆装置、リミッターの解除。 ※メカ沢の力を瞬間移動と誤解しています。 スバルが目を覚ました時、タンクローリーはすでに視界から消え去っていた。 立ち上がろうとする、がたまりに溜まった疲労は休養を訴える。 暗闇の中で彼女の脳裏に甦るのは彼女を“こう”してしまった出来事。 たった数時間前にあった、ある出来事を。 * * 雪原の中を一人の少女が行く。 だがそのシルエットには何かが足りない。 そう、右腕である。 超磁圧ナイフで切り取られた右肩は血の一滴も見せず赤黒い傷口を晒している。 ドラスに裏切られた直後、スバルはビルから全力で逃げ出していた。 何故ボイルドが周囲にいるという危険性を無視してまで飛び出したのか、それは彼女にも分からない。 ただ無我夢中で走り出して、気付いたら周囲に広がっていたのは雪原だった。 そう、いつの間にかスバルは最初に自分が飛ばされたコロニーまで移動していたのだ。 そこはマップで言う【D-3】ブロック、雪原コロニーの町の端だった。 町外れから見る人気の無い建物の群れは雪に包まれ、沈黙を保っている。 雪に包まれた世界に戻ってきて、最初に出会った筋骨隆々の男を思い出す。 ボブという男の言うとおり、ドラスは裏切った。 だがスバルは心のどこかでドラスをまだ信じたいと言う気持ちが残っていた。 (そう、だって“殺したいわけじゃない”って言ってたし……) 絶望の中に希望を見出す。 本来なら美点であるそれも狡猾な悪魔にとっては格好の餌でしかない。 そして疑心暗鬼という悪魔は だから聞こえてきた雪を踏みしめる足音に、反射的に物影に身を隠してしまう。 物影から足音の主を伺えば、そこにいたのは緑色の髪の少女。 あれがドラスが姿を変えたモノでないという保証は無い。 そう疑うと少女の姿がどうしようもなく恐ろしいものに見えてくる。 だがスバルは自分に言い聞かせる。人を信じなくて何になるのか、と。 これまで培ってきた世界が、15年間の人生が彼女の勇気を後押しする。 「す、すみませ「ははわわわわわわわ!?」 物陰からいきなり出てきたスバルに驚いたのか、 少女はしりもちをついたままで、こちらを見上げている。 「え、あ、あの……驚かせてしまったのならごめんなさい! 私は時空管理局局員のスバル・ナカジマといいます!」 慌てていつもの癖で自己紹介してしまった自分を恥じる。 時空管理局なんて単語は管理世界の人には分からない人たちもいるというのに。 「あ、はい! わざわざありがとうございます! こちらこそはじめまして。HMX-12マルチと申します!」 だが少女は向日葵のような笑顔で挨拶を行い、釣られるようにスバルの顔にも笑みが戻る。 と、そこで気付く。マルチの服が大きく破けてしまっていることに。 マルチはスバルの視線の先に気付き、照れくさそうな笑みを浮かべる。 「服が破けてしまって、代わり服を探しているんです。 町をず~っと見てきたんですけど、無いんですよね……。 でも良かったです。ちょうど服が見つかって!」 その言葉につられるようにマルチの視線の先を追うが、そこは自分の背後。 そこに広がるのは一面の銀世界。 「あの、どこに――?」 聞き返そうと振り向いた瞬間、スバルの視界を覆ったのは銀色の板。 そう、マルチは笑顔のままで、ランディングボードを思いっきり振り下ろしのだ。 「――がっ!?」 マルチが女子高生並みのパワーしか持たないとはいえ、無防備な状態でそれを受け、一瞬意識が飛びかける。 頭から流れる血を押さえて、数歩下がったスバルが見たのは先ほどと変わらぬ笑顔で、再び凶器を振り上げるマルチの姿。 「これだけだと寒いのでスバルさんの服をもらいますね~」 再び振り下ろされる合金板を地べたを転がるようにして回避するスバル。 ここで冷静に対処していれば、片腕だけとはいえ武装局員であるスバルがマルチを取り押さえるのは造作も無いことであっただろう。 だがドラスが植えつけた悪意の種は芽吹き、スバルの心を蝕んだ。 恐怖という名のレンズは自身より小柄なマルチを悪魔の如く歪んで映していたのだ。 「う……あ……あああああああああああああああああっ!!」 その結果、スバルは逃亡した。 恥も外聞も関係なく、こけそうになりながらも目の前の少女から一歩でも遠く離れようともがいた。 「はわわ、逃げないでくださいよ~」 声が後ろの方へ消えていく。 元々運動性能の違いだ。本気で走ったスバルにマルチが追いつける道理などあるはずが無い。 目の前に昆虫の複眼を持った異形が現れなければ。 目の前の存在に助けを求めるのか。それとも後ろから迫る少女に対しての注意を促すか。 疑心暗鬼に囚われたスバルは、たったそれだけのことができないかった。 それに目の前の怪人はドラスの話していた仮面ライダーに酷似しているのも原因の一つであった。 心のどこかでまだあの少年を信じていたいと願った心が、スバルから即座に行動すると言う選択肢を奪う。 そしてその結果、鋭い右フックがスバルの腹に突き刺さった。 「か……はっ……!?」 その運動エネルギーはスバルの人工心肺から無理やり息を搾り出すだけでは止まらず、 吹き飛ばされ、雪原へと投げ出される。 ストロンガーの姿を模したT-1000は冷徹に任務を遂行する。 ナタクの時と同様、シグマウィルスを仕込もうと右腕を巨大な注射針へと変貌させ、スバルに迫る。 「逃げるなんて酷いですよ~」 そこに物音を聞きつけたマルチも追いついた。 シグマウィルスに操られた彼女はT-1000に見向きもせず、ライディングボードを構えてスバルのほうへと向かってくる。 その光景にスバルは恐怖した。 戦いの恐怖とは違う、周囲の人間を信じれなくなる恐怖。 それはスバルが初めて感じる種類の恐怖だった。 何故ならば彼女の傍にいたのは信頼と言う絆で繋がった仲間たちだったのだから。 その恐怖は見えない鎖となって、スバルの動きを封じた。 そして繋がれた囚人に2つの処刑鎌が迫り、振り上げられた。 「い……やああああああああああああっ!!」 その結果、彼女は無意識のうちに力を解放した。 力の名は“振動破砕”。接触した機械に震動を叩き込み破砕する彼女の先天系特殊技能。 彼女の優しさ故に振るわれる事が殆ど無い、だが機械機構を持つものたちにとって最も恐るべき力の一つ。 突き出された左腕から暴虐の力は2体の体へと叩き込まれる。 唯のメイドロボであるマルチはプロテクションなど特殊な技能を持たない。 いや、むしろ“どんくさい”部類に入る彼女は、防御体勢を取ることすら不可能であった。 故に結果、粉々に破砕された。部品を撒き散らしながら。 断末魔も、最後の言葉すら残すことなく心優しいメイドロボは砕け散った。 そしてその一撃は攻撃の瞬間に移るところであったT-1000も直撃した。 震動は衝撃波を生み、T-1000を粉々に破砕し、水銀にも似た液体を雪原に散らばらせた。 雪原に散らばる瓦礫と銀の飴。 その光景はスバルの心に一つの闇をもたらした。 飛び散ったのは電子部品と液体金属の塊たち。 その中には生体パーツなど一片も含まれてはいなかった。 故に、スバル・ナカジマはその思い付きを肯定した。 目に映るのは訓練で、任務で散々壊してきた目標と同じ。 多少形が違うだけで、ガジェットドローンなどと同じただの機械なのだ、と。 その思い違いは正義感を歪ませ、目に映る全てを悪魔へと変貌させた。 「そうか、そうだったんだ……」 ぶつぶつと呟きながら、幽鬼のような足取りで走ってきた道を戻っていく。 その手にマルチが振りかざしていたランディングボードを抱えたままで。 * * 「だから……全部壊すんだ」 誰に聞かせるでも無い呟きと共に意識を取り戻したスバルは、立ち上がりながらこれからの行動を思案する。 まだ周囲にいるであろうタチコマから破壊すべきか? いや何よりも誰よりも――ドラスを放っておくわけにはいかない。 まだそんなに離れていないであろうタンクローリーに向かい、追跡を開始しようとする。 だが、そんな彼女の前に、 「おい、お前、大丈夫か!?」 新たな標的が現れた。 時系列順で読む Back そいつは人情派サイボーグ Next 運命交差点(後編) 投下順で読む Back そいつは人情派サイボーグ Next 運命交差点(後編) 059 漆黒と紅の零地点(後半) ノーヴェ 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) メカ沢新一 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) ロボ 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) ドラス 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) ゼロ 068 運命交差点(後編) 044 DEVIL A/Beginning スバル・ナカジマ 068 運命交差点(後編) 060 強者をめぐる冒険 T-1000 068 運命交差点(後編) 060 強者をめぐる冒険 マルチ -GAME OVER-
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Character Card イレイザー サイボーグ/霊能者 1/1/1 チャージ1 1:≪このエフェクトのコスト≫をオーナーの手札に戻す。 No.1724 Rarity C Illustrator みづきたけひと Expansion 審判の日 カード考察
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システム アルシャードガイア GM名 黒乃トミー 初心者対応 可 システム初心者 可 対応人数 4~5人 対応サプリメント 上級ルールブック、アインヘリアル 必要な物 筆記用具、6面ダイス(最低2個、可能ならば10個程) シナリオ概要 アルシャードガイアは現代の地球と似て非なる世界「ブルースフィア」を舞台にして、プレイヤーの皆様には神々の欠片を継承する「クエスター」となって頂き、世界に仇なす「奈落」と呼ばれる者達を倒したり、それらが起こす事件を解決したりするシステムです。偶然か、運命のいたずらか、誰かの意思なのか。舞台で人々が出会い、引き金が引かれる時、物語は始まりを迎える物語の舞台はN市引き金は発掘された遺跡、それは龍の眠る墓だったそれを巡り、集まる役者達ある者は遺跡の神秘を求めある者は龍の力を欲す月の満ちる静かな夜に、龍の咆哮が空を裂くアルシャードガイア「龍ノ目覚メ」蒼き星にまた奇跡が生まれる
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アドヴェンデット・セイヴァー(OCG) リンク・効果モンスター リンク2/闇属性/アンデット族/攻1600 【リンクマーカー:左下/右下】 アンデット族モンスター2体 このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。 (1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、 カード名を「リヴェンデット・スレイヤー」として扱う。 (2):自分の墓地の「ヴェンデット」カード1枚を対象として発動できる。 そのカードを手札に加える。 (3):このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、 デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。 その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで、 墓地へ送ったモンスターのレベル×200ダウンする。 アンデット族 アンデット族補助 セイヴァー デッキ圧縮 リンクモンスター ヴェンデット ヴェンデット補助 墓地再利用 能力弱化 闇属性 関連カード リヴェンデット・スレイヤー(OCG)
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第1話『ミルクシュガーキス』 GM:もちゅりー 参加PL:わっきー、すぺらんかー、重力256、AUG、Ric 今回予告 ハンドアウト 粗筋 結末 今回予告 誰も分かってくれない、私の心に開いたスキマ 貴方には分からない、私の中に潜む闇 どうしてあなたと私は違うのだろう あぁ、そうだ、皆が一つなればいい 身体は命の源へ、心は甘い毒薬へ、扉は熱い口付けで 東方アルシャードガイア外伝『ミルクシュガーキス』 溶け合う心が世界を壊す ハンドアウト PC1:八重垣 陸(すぺらんかー) 最近常にあなたを見つめる視線を感じている。 視線の元を辿っても誰も居ない、居るはずがないのだ。 気のせいかとも思ったが、自分の感覚を疑いきることはできないでいた。 シナリオコネクション:視線の主 推奨:恐怖 PC2:松本 奈緒子(重力256) あなたのルームメイトでもある大切な友人が失踪した。 彼女が失踪する理由に思い当たる事はもちろんあるはずが無かった。 しかし、その数日前の彼女の言動が気になったあなたは、彼女の行方を自分の手で調べる事にした。 シナリオコネクション:室井 庄司 推奨:任意 PC3:瑞雲 慶悟(AUG) 仕事中に普段は鳴ることの無い電話が鳴った。 この電話が鳴るということは、奈落による事件が起こるということでもある。 あなたの上司でもある高坂 橙子から連続集団昏睡事件を解決するように指示された。 シナリオコネクション:高坂 橙子 推奨:任意 PC4:ファルリーテ(わっきー) あなたは最近この町では妙な事件が起こるようになったと感じている。 そんなある日、見知らぬ少女に呼び止められた。 彼女にはあなたの力を借りたい、ある場所へ行って欲しいと言われた。 行けば分かる、と彼女は言うのだが・・・? シナリオコネクション:八雲 紫 推奨:任意 PC5:小鳥遊 エミ(Ric) あなたは奈落の行動を阻止することはできなかった。 あなたの仲間は倒れ、奈落はあなたの守ろうとした人と共に姿を消した。 しかし、ブラックロータスは今回の奈落の行動は最終目的ではないという結論に至ったらしい。 あなたは最終目的地の予測の一つである地での任務を命じられたが、そこはあなたに馴染み深い土地であった。 奈落がここに現れるようならば、今度こそ討たなければならない。 シナリオコネクション:フリアイ 推奨:憎悪 PC間コネクション PC1→PC2→PC3→PC4→PC5→PC1 粗筋 結末
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1: ゴッサムシティと言う大都市は、ある意味で奇跡の都市と換言しても間違いはなかった。 国内外問わず、治安や住民層の悪さは音に聞こえ、特に労働格差など、ゴッサムシティと言う街の在り方を変えねば是正出来ない程に深刻なものだ。 この街を根城、或いは支社とするマフィアやギャング、ジャパニーズ・ヤクザなどと言った裏社会の組織やグループの数は数百を超え、 此処に構成員が寡数からなる弱小の組織やグループを含めると、最早警察や行政ですら統計不可能な数値になると言う。 ゴッサムに血が流れず、銃弾が一発も放たれない日などない。今日も何処かで、人知れず誰かが闇に葬られている。 この街で人が死ぬのに、表の住民も裏の住民も関係がない。誰でも等しく、死ぬ手筈は整えられてあるのだ。 諸人は言う。ゴッサムは合衆国の中でも有数の超経済都市であると。経済規模だけで見れば、ニューヨークや東京、ロンドンに香港と言った世界都市にも比肩すると。 事実である。この街にはウェイン・エンタープライズを筆頭とした世界的にもメジャーな大企業が幾つも存在するし、最近では日本の医療福祉の超大手、 ユグドラシル・コーポレーションの誘致にも成功している。マンハッタンもかくやと思わせる程に建ち並ぶ高層ビルの数々は、この街の経済の隆盛の証だった。 夜になれば百万ドルどころか、百億ドルにも手が届かんばかりの夜景を演出するこの街は、今の四十から五十代の大人が子供の頃に夢見た、 近未来の大都市のモデルケースそのものだろう。……その一方で、この街には先述したような是正不可能なレベルにまで開いてしまった、 経済格差と言う問題が横たわっており、名のある企業に勤めるサラリーマンと低所得者の収入の差は、年々無慈悲に開いて行く。 低所得者は当然住む場所が限られ、ホームレスや浮浪者が横たわり、悪酔いした酔漢の吐いた吐瀉物が其処らに見られるスラムで生活する他なく、 生活も風化しかけた砂漠の只中の岩柱の様に不安定であるから、非合法かつイリーガルな商売に手を出す者も多い。麻薬の売買や売春である。 ゴッサムの治安や住民層の悪さは、この街を根城にする犯罪組織のせいばかりではない。広がり続ける経済格差、これに対して手を打てない行政、資本主義をストイックに追及し過ぎる企業もまた、この街の悪評を助長させるに足る原因であった。 しかしそれでも、ゴッサムはあの悪名高い荒廃都市デトロイトの二の舞になる事がなかった。 その事は、現在進行形でこの街のGDPが向上中である事や、国外の名だたる企業の誘致が成功している事からも窺える。 街の惨状に嘆き出て行く者もいる一方で、出て行った人の数とほぼ同じ数の、外からやって来て定住する者も存在する。 この街の実態が広く知られていながら、何故この街に夢を託して足を踏み入れる者が多いのか。それは、誰にも解らない。 最も良い解釈は、この街には、人を惹きつけてやまない魔力めいたものが漂っているのだろう。思考停止極まりない考えだが、それが一番自然だった。 犯罪都市の悪名を轟かせて居ながら、確かな経済が息づき、荒廃と無人とが無縁の街。だからこそ、奇跡の都市なのであった。 ゴッサムは最近になって、子供の教育と言う領域に力を入れ始めた。 今の時代を生きて行くのに相応しい、賢明な子女の教育に寄与したい。行政に携わる者の声明だった。実に、尤もらしい。 その教育に与れる人物に、低所得者やストリートチルドレンが含まれていない事を見ぬフリすれば、だが。 教育格差の問題はさておいて、その試みは現状成功していると言っても良かった。 犯罪都市と言う悪名を抱えて居ながら、ゴッサムのハイスクールやカレッジに入学を希望する海外の学生が、後を絶たない。 これらの教育機関自体が、優秀なのである。行く行くは、ハーバードやMIT、イェールと言った名門大学と肩を並べる日も近い。 音もなく、一台の車が車道の脇に止まった。 自動車に対する関心が他国とは一線を画すアメリカは愚か、それ以外の国でも衆目の目線を一度に集めてしまいそうな、黒光りする漆黒の高級車。 メルセデス・ベンツのSクラスクーペである。スタイリッシュなエクステリア・インテリアデザインは若者の感性を魅了し、その値段は頭金が余程ない限りは手持ちの現金は当然の事、十年以上のローンを組まされる事などザラな程に高価なドイツ車だった。 男女の目線が、ブラックダイヤの様に妖しく光り輝くベンツの車体に注がれる。 そんな沈黙なぞ知った事かと言わんばかりに、乗車していた者が後部席から外に出、歩道に佇立しながら道を歩く人々を一瞥する。殆どの者は年の若い学生であった。 ――愚図ばかりか―― 尊大な態度と足ぶりで、車から出て来た者が闊歩する。その様子を見るや、ベンツは車から出て来た者から遠ざかって行く。学生達が、目を逸らす。 この二十一世紀に時代錯誤も甚だしい黒マントを羽織った、見事なブロンドのツインテールの少女だった。それに、若い。 周りの学生達の多くは二十歳にも満たない年齢であり、色恋沙汰や青春を謳歌出来る年齢だと言うのに、彼女は、彼らよりも若そうに見えるし、実際若かった。 しかして、赤縁の眼鏡の奥で光る碧眼は、青春を満喫するだけの学生には到底持ちえない、抜身の刀に似た鋭い光を湛えており、非常に威圧的だった。 そして極め付けが、彼女の胸中であった。彼女の――ゴッサム大学で教鞭を振う若き考古学の教授、ミュカレにとって、愚図と言う言葉は、この大学に通う全ての学生全ての教職員の事を指している。 目線の先に、ゴッサム大学の正門と、その先に広がる本校舎と広大な敷地が広がっている。 多額の金を駆使して最新の設備を備え付け、学生や外来からの留学生を驚かせるような近未来的でスタイリッシュな建築様式を建築家に依頼し、 憩いの場としても活用してもらえるよう緑も学園内の敷地のあらゆる所に植え付けて。これ以上下らない場所など、果たしてあるのだろうか。 街のイメージを良くしようとブラッシュアップを欠かさず行い、学生から金を集める事に腐心し、教える事も真新しい事など何もない。 ミュカレにとってこの大学は、小賢しい豚が自らの餌を工面する為だけに建てた地獄としか映っていなかった。 それでも、この大学に通い何かを得ようとし、この大学で教鞭を振う事を生きがいとする教授もいると言うのだから驚きだ。これを、愚図と呼ばずして何と呼ぶのだろうか。 このような場所になど、本当の事を言えばミュカレは足を運ぶ事は愚か、大学の威容を目にする事もいやな程だった。 であるのに彼女がゴッサム大学にこうして赴く訳は、聖杯戦争の戦略上重要な事だと考えていたからだ。 一言で言えばミュカレは、迂闊に大学をサボタージュ出来ない。何故ならばミュカレは、有名人であるからだ。 ゴッサム大学と言うコミュニティの中で著名であると言うだけでも彼女にとっては致命的なのに、大学の外でも有名人であると言う事実が拙かった。 彼女の名が知れ渡っていると言うのは無理からぬ事だった。何せ二十歳にも満たない年齢で大学教授、その上考古学と言うメジャージャンルの権威の一人である、 と言うのだから名が知れていない訳がない。つまり、彼女が大学を休む――正当な理由であっても――、と言う事は少なくない影響を及ぼすのだ。 大学内に聖杯戦争の参加者が潜んでいないとも、限らない。大学を休んだ結果、足がついてしまう、と言うつまらない事態だけは避けたい。 今の所学内にサーヴァントの魔力や、魔力を有した生徒や教職員は確認出来ていないが、アサシンが気配遮断で潜んでいたら流石の彼女らもお手上げだ。 結局、参加者である事が露呈しない一番確実な方法は、聖杯戦争など知らないと言った顔で日常を送る事である。全く反吐が出る話だが、だ。 正門をくぐり、大学の敷地内をミュカレは歩く。 耳を澄まさなくとも、彼女に対する愚痴が聞こえて来た。年下の癖に偉ぶっている、生意気である、可愛げがない、服装がおかしい、外見的特徴が多過ぎて逆に没個性だ等々。 陰口を叩くのならば声をもう少し絞れと言いたくなる。驚くべき事にこれらの愚痴は学生だけならばまだしも、 教職員も口にしているというのだから、ミュカレにしてみれば救いようがない。彼らの不満の原因の殆どは、彼女の年齢が原因であった。 若造が上の地位に立つ事を、ロートルや、その若造と同年代の世代が嫌うと言う事は、古今東西変わりない。異世界のゴッサムでも同じであるらしい。 若くしてゴッサム大学の教授の上に、考古学界の権威と言う、絵に描いたようなサクセスストーリーぶり。今時小説の登場人物の設定にするのも勇気がいる程の完璧さだ。 これで、嫉妬をするなと言う方が、考えてみれば無理な話なのかも知れない。 ――つまらんものに囚われおって……―― 地上における、仮初の立場や経歴などと言ったものに執着するからこそ、自分がお前達の救済に乗り出さなくてはならなくなったのだと声を大にして言いたかった。 肉体とは魂を閉じ込める牢獄とは、洋の東西問わぬあらゆる宗教が説く所であるが、実際問題ミュカレから見てもその通りであった。 痛みを嫌がり、飢えに苦しみ、寒さや暑さに辟易し、疲労も無限に蓄積する。肉体とは彼女にとって、要らぬ苦しみだけを保証する邪魔な汚物に過ぎない。 これらの苦しみから逃れようと、より上位の快楽を求めようと、人は高い地位を求め、限られた地上の富を掻き集めようとする。 馬鹿げたサイクルだ。世界中の人間が、ヴァルハラや浄土、至高天(エンピレオ)や崑崙、エリュシオンにイデア界と言った言葉で比喩した世界。 即ち霊的世界に魂を昇華させると言う事以上の快楽など、果たして存在するものか。いや、ない。 やはり、プネウマ計画は聖杯の奇跡を以て成就されなければならないようだ。 尤も、今更百人や千人、いや、地球上の全人類がミュカレに対してプネウマ計画に『否』を叩きつけようとも。彼女はこの計画を推し進めていただろうが。 「おやぁ、誰かと思えばミュカレ教授ではありませんか」 聞き覚えのある声が、ミュカレの背後から聞こえてくる。 暗く、湿った、如何にも陰険そうで、人付き合いと言うものをあまりして来なかったであろう事が窺える、男の声だった。 「……気安く話しかけるな、サフィール教授」 貴様になど興味がない、とでも言葉の最後に付け加えそうな程に、如何にも無関心そうな語調でミュカレが言った。 「……そんな態度を貫いているから、天与の才能の割に、大学で孤立するのではないのですかねぇ?」 歩調を速め背後の男がミュカレと並んで歩く。 蓮華の花が咲き誇ったかのような特徴的なデザインの襟を持った上着を身に付けた、灰色の髪をした男。 サフィール・ワイヨン・ネイス。このNPCの名前である。機械工学を学んでいながら、遺伝学にも関心を示している事で有名な、科学者精神に溢れる教授だ。 著した論文を戯れ程度に目を通した事があったが、愚図の集まる大学の中ではまだマシな研究をしているようだった。 特に工学分野でありながら、クローンや遺伝子組み換えと言った分野については、其処らの理科系の学院生の遥か上を行く見識を持っている事は間違いなかった。この大学で研究をするよりは、この男はゲゼルシャフトの方が向いているだろう。 「我は孤立しているのではない、孤高の存在なのだ。友人もいない貴様と一緒にするな」 「ムキー!! 私だって孤高の存在なんですよこのお子ちゃまめ!!」 ミュカレに強かに痛い所を突かれた為に、サフィールはムキになって怒り始めた。 彼女の事を子供扱いするサフィールであったが、この怒り方では、どちらが子供なのか解ったものではない。とても三十を過ぎた男の怒り方ではなかった。 世間と言う下らぬ凡俗のフィルターから通してみた場合、間違いなくサフィールと言う男は優秀であったが、この男には何故か、友人がいなかった。 同じ教職員で良くつるむ姿も見た事がないし、学生から慕われていると言う噂も聞かない。 上位次元の存在が、地上の人間にこの男を好くな、と命令していると思わなければ理解に苦しむ程度には、友達が少ないのだ。 本人もその事は気にしているらしく、其処を突っ込まれると、ご覧の様な反応を取る。 そんなサフィールが、何故かミュカレに突っ掛る理由は、色々ある。 他の者達が抱いている嫉妬や敵愾心も、ひょっとしたらあるかもしれないが、サフィールに言に曰く、ミュカレは自分に似ていると言う。 大学と言う目立つ場所でなければ不愉快さを紛らわす為に殺されていた事を、サフィールは知る由もない。要するに、親近感を抱いていると言うのだ お前と一緒にするな、とミュカレは本人に何度も言っている。確かに彼女は学内でも私生活でも一人でいる事の方が多い人物だが、 それは単に彼女のコミュニケーション能力が低いと言う訳ではなく、聖杯戦争に際して他者との繋がりは最低限度のものに限らせておきたいと言う考えがあるからなのだ。 それを、協調性や同化性が今一育まれていない為に、集団から孤立していると思われるなど、心外にも程があると言うものだった。何も知らぬとは言え、つくづくサフィールと言う男は失礼極まる男だと、内心でミュカレが腹を立てている事を彼は知らない。 特徴的な襟をした男と、黒マントを羽織る少女が並んで歩く。その様子は宛ら仮装行列か何かを思わせるだろう。 これが生徒であったのならば随分奇抜なファッション、若さゆえの誤った自己表現で片がつくかもしれないが、よりにもよって教授からしてこれである。 ゴッサム大学の理事会も、さぞや頭を痛めているに違いなかろう。……ただでさえ、学内で精力的に活動している者達についての問題も抱えていると言うのに。 「……最近はやけによく見るな」 冷めた目で、ミュカレは前方を見つめている。十人以上の男女が広い通路の真ん中を陣取っていた。 この街の腐敗ぶり、ギャングやマフィアの横行、ゴッサム大学の理事会の金の汚さやスキャンダル等々。 リーダー格と思しき、頭にバンダナを巻き、サングラスをかけた髭面の男が、拡声器で上にあげた事を主張している。 バンダナの男の部下と思しき男女が、道行く学生にビラを配っている。サークルが開催する学内イベントの宣伝とは違うのは、一目見ても明らかだ。 彼らは皆、その腕に『黒い蝗を模した腕章』をつけていた。 「グラスホッパー、と言う奴ですか。最近はよくニュースになってますねぇ。私は興味はありませんが」 その名前はミュカレも知っている。知らないでは済ませられなかった。目下警戒中のグループであるのだから。 悪徳と衆愚の街ゴッサムに突如として現れた、警察とは別の自警団、グラスホッパー。 今やゴッサムに住まう住民で、この一団の事を知らない人間は、ニュースペーパーをゴミ箱からあさる事も出来ない程衰弱した浮浪者かホームレス位のものだろう。 それ程までに、彼らは名が知れていた。新聞やテレビでその活躍を見る事もあったし、代表取締役の犬養なる男のインタビューも見た事がある。 目覚ましい活躍ぶりだし、版図を広げるその手腕も大したものであった。余程優れたブレーンが存在するのだろう。或いは犬養自身が優れているのか。 何れにせよ、グラスホッパーは魔法を使っているかのように、彼らは瞬く間にゴッサムシティにその名前を轟かせ、その注目を一身に浴びる存在なのだった。 ――この大躍進ぶりを警戒しないようでは、聖杯戦争の参加者として生きて行く価値はまずないだろう。 明らかに異常である。並み居るマフィアやギャングの妨害にも屈さず、名声と地位を倍々ゲーム的に高めて行く。それ自体は褒められるべき事だろう。 そのペースが異常であった。普通であれば数年、どのような話術や演説を駆使しても数ヶ月は掛かる所を、犬養率いるグラスホッパーはものの数日で成し遂げた。 犬養が百年、いや千年に一度のカリスマを持った統率者であるからそれも已む無し、とはミュカレは考えなかった。 サーヴァントが噛んでいると、彼女は睨んでいる。どちらにしても、今後の活動の障害になり得るだろう事は、大いに想像が出来る連中だ。 聖杯戦争の参加者として、警戒をしない道理など、ないのだった。 「下らん連中だ。首魁の犬養ならばともかく、あそこで騒いでいる者達は、学生の身分でありながら学ぶ事を疎かにし、政体や権力者に反発する美しい自分に酔いしれているだけの愚か者だ」 「ほう、珍しく意見が合いましたね。その通り、学生運動などその人物にとって百害あって一利なし!! 騒ぐような連中は大抵の場合、その運動の根幹にある思想に全く理解を示さず、ただストレスを解消し、暴れたいだけのフリーライダーなのですよ」 サフィール教授の場合は寧ろそう言った運動には誘われない可能性の方が高いだろうが、面倒なのでミュカレは黙っておいた。 グラスホッパーの団員は、これを見るにミュカレの想像よりも遥かに多いとみて間違いはなかった。 聞いた所によるとゴッサム大学の学生の内何十人、事によっては百人にも上る規模の学生が、グラスホッパーの構成員であるらしい。 理事会はこのまま大学に対する抗議デモでもされたら、と言う懸念に頭を悩ませているが、ミュカレにとっての心配事は其処ではない。 学内に百人規模のグラスホッパーの構成員が潜伏している、と言う事が何を意味するのか? それは、犬養がその気になって命令を下せば、忽ち百人ものNPCによる諜報部隊が出来上がると言う事だ。 NPCの一人や二人、葬る事は造作もないが、葬り過ぎて表沙汰になる事態だけは避けたい。 「面倒な事をする愚図共だ」 忌々しげに口にするミュカレ。目の前で拡声器を使って演説をしているバンダナの男を殺してやりたいくらいだった。 あの男の事は以前調べた事がある。この大学で結構な頻度で演説をし、しかも日本人であると言う所から、聖杯戦争の参加者かと疑っていた時期があったのだ。 実際には、ただのNPCであったのだが。あれは中村太郎と言う男で、ゴッサム大学に学籍はない。つまり外部からやって来て演説している迷惑者である。 大学の側が立ち退きを命じようにも出来ない訳は、あの男が犬養からそれなりの薫陶を受けた人物だからであり、学生からのウケも良いのだ。 つまり立ち退きを命令しようとすると、他の学生が煩く反発するのだ。柳腰にも程がある。 ――対策を講じる必要があるか……―― 自らの活動拠点の一つである大学にまで此処まで根を張られているとなると、知らぬ存ぜぬではいられない。 ジェダを戻し次第、彼と何かしら話し合うテーブルを用意せねばならないだろう。殺意の籠った瞳で、熱の入った声で演説を続ける中村を睨みつけるミュカレ。 忌々しいイナゴ共。黙示録に語られる、奈落の魔王の使い魔達。 何れその汚れた霊魂から澱を引き剥がし、汚穢のない純粋な魂を精錬させた後に、遥かな次元へと送り返してやろう。 斯様な事を思いながら、ミュカレはサフィール教授とは違う校舎が建っている方角へと向かい始めた。文系の校舎と理系の校舎は別なのである。 「では、また昼食の時にでも」、サフィール教授が別れ際にそんな事をミュカレに言い放って来た。昼も一緒に過ごす気でいるらしい。無論ミュカレには、そんなつもりはないのだが。 【MID TOWN RED HOOK/1日目 午前】 【ミュカレ@アカツキ電光戦記】 [状態]健康、平常 [令呪]残り三画 [装備]黒マント、カティが着ていた服 [道具]元帥杖(懐に忍ばせている) [所持金]現金十万程と、クレジットカード [思考・状況] 基本:聖杯戦争、負けるつもりはない 1. 煩わしい事だが、ゴッサム大学には足を運んでやる 2.サフィール教授には会いたくない 3.グラスホッパー……どう対策するか [備考] ※犬養舜二が聖杯戦争の参加者だろうとあたりをつけています。ひょっとしたら、他の参加者についてもおおよその目星はついているかもしれません 2: この世の九割九分九厘は、無駄な物で構成されている、とジェダは感じる事がある。 では残りの一厘の有益で、そして完全完璧な存在は誰か、と問われれば。自身、ジェダ・ドーマしかいないと、彼は答えるであろう。 それが、ジェダには悲しくて仕方がなかった。何故ならば、滅びに愛され美と永遠に見放されたこの世界を救えるのは、ジェダ・ドーマ以外にいないと言う事に等しいのであるから。 世界は死にかけている。 元来人間や魔界の知的生命体を含めて、心のある生物と言うのは計り知れない力を持っているものなのだ。順当にその力を発揮できればだが。 今生では、その計り知れぬ強大な力を発揮出来る生物は誰一人として存在しないだろう。 何故ならば彼らは、終る事のない争いに明け暮れ、疲弊し、血を流し。僅かなる富の為に奪い合い、騙し合い、富を増やす手段を講じもしない。 結果、世界からは調和と美が滅され、代わりに、怠惰と死と荒廃とが溢れ、新風も闇を照らす光も生じぬ地獄となった。 聡明なジェダには、現状の推移が容易に想像出来る。 調和の失せた世界から消え去るのは、何も美だけではない。未来すらもが消え失せてしまう。 未来の消えればその先には、確実な滅びしか待ち受けていない。これを防ぐには、魔界の住民や地上の住民を含めた、全ての魂を救済してやるしかない。 その救済とは、全ての魂との同化。何故、調和が消えねばならないのか。何故、皆は解り合えず争いばかり続けるのか。 それはどのような存在にも『差』と言うものが存在し、それを意識するからである。差を意識する事は、自身の増長を招き、妬みを生み、不満を沸き立たせる。 では、『全ての魂がジェダ・ドーマと言う存在に吸収され、全ての生物が彼一人に収斂された』としたら……? それはジェダにとって理想的な世界だった。全ての生物が一つになれば、全ての魂が一つになれば。 争いなど起りようがない。全て一つであるのならば、調和は絶対に満たされる。それは究極の美のカタチであり、究極の救済のカタチなのだった。 この途方もない理想を果たす為には、先ず自らの力を振い、聖杯戦争と言う下らぬ争いを勝ち進めねばならないようである。 マスターであるミュカレと言う女性は、今の時代でも珍しい、聡明で、自分に近しい理想の持ち主である。と言うのが、ジェダの評価だ。 つまり、掛け値なしに彼女は優秀な存在である。一個の知的生命体としても。そして、自らの上に立つに相応しいマスターとしても。 故に、聖杯戦争を勝ち残った暁には、彼女は真っ先に自分の祝福を受ける資格があると、ジェダは考えていた。 その祝福とは最早言うまでもない。ジェダ・ドーマとの同化に他ならない。苦しみも悩みも無い究極の理想郷(アルカディア)である、ジェダ・ドーマと言う一つの世界に、彼女は最初に招待されるに足る。 衆愚の街ゴッサムの住民が、『ウェイン・タワー』と呼ぶ建造物の屋根に取り付けられた電波受信の為のアンテナに、器用にジェダは直立していた。 ジェダと言う人物が全体重をかけて乗っていると言うのに、アンテナは、折れない。まるでこの世の物理法則の外に、この男が君臨しているかのように。 この位置からだと、ミュカレが教鞭を振っていると言うゴッサム大学が良く見える。今頃は、出来の悪い学生を相手にその辣腕を振るっている事だろう。 ミュカレの傍にジェダが霊体化して同伴しなくても、別段問題はなかった。 ジェダが彼女の元を離れ、ウェイン・タワーの天辺から街を見下ろすのには訳がある。 一つには、彼に街の地理を覚えさせると言う意味で。そしてもう一つが、街に変わった様子がないか、もっと言えば、サーヴァントが交戦していないかを確認させる為。 流石にアーチャーのサーヴァントの様な千里眼はジェダも持ち合わせていないが、それでもその視力は常人を遥かに凌駕する。監視塔の役割は、十分果たせる。 それにジェダは、マスターの潤沢な魔力量と、自らが持つ魂同化スキルの甲斐もあって、単独行動すら可能とするサーヴァントだ。 たとい彼女から数百m、事によっては数キロ離れて行動したとしても、現状では問題はなかった。 極め付けが、他を隔絶する念話範囲である。ミュカレ自身が特に優れた魔導の持ち主の為、魔術の基本的な素養が他を大きく引き離している。 ゴッサム大学から数百m以上離れた此処ウェイン・タワーにおいても、念話が可能である程と言えば、その凄まじさが知れよう。 此処に、ミュカレがジェダをゴッサムの監視に任命した訳があった。空を飛べ、単独行動も可能とし、念話のカバー範囲で異変をすぐに知らせる事が出来、 いざ戦闘になれば的確にミュカレの指示を仰ぐ事も可能なのだ。ジェダをゴッサムを監視する『目』の役割を言い渡したミュカレの判断は、見事なものであり、理にも叶っていた。 ふと、ジェダは目線を眼下に広がるビル群から、遥か先に聳え立つ、巨大な銀色の塔に目をやった。 特徴的な形状をした高層建築であった。それでいて、構造力学的に見事なバランスを保てている。 さぞや名のある建築士に図面を引いて貰い、多額の金を払って建造して貰ったのだろう。初めてそのビルディングを見た時のジェダの印象は、一本の大樹であった。 何故か、と問われれば、そう見えたからとしか答えようがない。そして後にこのビルの名前を知った時、自分の抱いたイメージが正しかった事をジェダは知った。 ユグドラシルタワー。ゴッサムの住民はそう呼ぶらしい。ユグドラシル、北欧の神話に出てくる宇宙樹の名前であったか。 尤も、ユグドラシルの名前を冠する割には、あの建物は少々名前負けをしている感が否めないが。 建物が高くなればなるほど、モラルが低下すると言うのがジェダの美意識だ。 あのユグドラシルタワーにしろ、今ジェダが佇立しているウェイン・タワーにしろ、自らの権勢を誇示しようとしているのかは解らないが、あまりにも高層建築が多すぎる。 どうにもこの街の住民はモラルと言うものが足りな過ぎる。これもまた、ジェダに言わせれば『差』の産物の一つだった。 場を変えよう。ジェダはそんな事を考えた。一つの地点からだけの監視では、大局的に物を見渡せない。 定期的に高い所から高い所へと移動する必要がある。そう考えて、ジェダは霊体化を行い、背の翼を以て飛翔。 哲学的思考の世界に沈みながら、遥か下界の世界を見渡して空を飛ぶジェダ。 退屈そうに街の様子を眺めていたジェダが――目を見開き、一瞬で哲学の世界から現実の世界に引き戻された。眼下の事象を、信じる事が出来なかったのだ。 「……森だと?」 静かにそう呟くジェダ。 人通りの少ない、どころか人っ子一人存在しないゴッサムの繁華街の裏路地に、それは生い茂っていた。 瀝青、コンクリート、ガラス、合金、プラスチック。自然の物など何一つとしてない、都市計画が許す範囲でしか緑が許されていないこの街で。 何故、あそこまで自然なままの緑があるのか。森と言うには、規模が小さいかも知れない。裏路地の一角にしかその緑はないのだから。 林と言う言葉を用いるのも、烏滸がましいだろう。だが確かにそれは、ジェダから見たら森であった。木が生えている、草も茂っている。――瑞々しい果樹すらも、見えるではないか。 【マスター】 念話を以て、ジェダは、大学にいるであろうミュカレにコンタクトを取り始めた。 【何があった】 【森だ】 【……何を言っている?】 流石に言葉が足りなかったらしく、疑問気な言葉をミュカレは投げ掛けて来た。 【奇妙な物言いに聞こえるかもしれないが、街に森が茂っている】 【前から言おうと思っていたが、お前の言い回しは迂遠が過ぎるし、勿体ぶり過ぎなきらいがある。短く簡潔に言え】 【その通りの事を語っているよ。森と言うには規模が小さいが……明らかに、鬱蒼とした木々や草が生えている区画がある】 向こうは黙りこくった。真剣に現況を語るジェダの口ぶりに、判断を迷っているのは言うまでもなかった。 その目で実際の状況を見れない為に、信じられないのは無理からぬ事だろう。実際の状況を目にしているジェダですら、今の事は信じる事が出来ずにいた。 【キャスターの陣地である可能性はあるか、セイヴァー?】 【見ない事には解らないな】 【ではその様子を確認して来い。危険を感じたら、退避しても構わん】 【解った】 其処で念話を切り、ジェダは眼下の一点、即ち彼が森と呼んでいた地点へと急降下した。 人間達が伝説にしている所の、エリュシオンの野であろうか。ジェダはそんな事を考えていた。 しかし実態はそんな物ではない。その森の名こそ、ヘルヘイム。宇宙樹ユグドラシルの根に存在する、冥府の国、常世の世界。 もしもミュカレがその森の名前を聞いた時、彼女は苦言するだろう。なんと不吉な森である事か、と。 【MID TOWN WAYNE TOWER/1日目 午前】 【セイヴァー(ジェダ・ドーマ)@ヴァンパイアセイヴァー】 [状態]健康 [装備]万全 [道具]万全 [所持金]私には何の価値もない代物だ [思考・状況] 基本:全ての魂の救済 1. この街には良識の欠片もない 2. あの森が非常に気になるな…… [備考] ※現在ミュカレの命令に基づき単独行動中です ※ヘルヘイムの森の存在に気づきました。念話でこれを、ミュカレに報告も済ませました ※ヘルヘイムの森に向かっています BACK NEXT 002 運命はもう止められないとしても 投下順 004 Dancer in the Dark 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 000 Lights,Camera,Action! ミュカレ 036 そして完全の世界より―― セイヴァー(ジェダ・ドーマ)
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オンライン対戦出来ないのか。残念。 -- (なーんだ) 2011-02-11 14 55 27 ロードは高速モードで初戦のみ4~5秒それ以降3秒 -- (名無しさん) 2011-02-13 18 25 52 悪くはないのだが、やはり容量削減かパターンが簡素になってる気がする。 シリーズ宿命の必殺技コマンドの難易度が健在なので、 昨今の格闘ゲーに慣れてる人は必殺技入力で不便さを感じるかも。 キャラや出来は決して悪くない、アーカイブスではむしろオススメな方。 -- (名無しさん) 2011-03-02 09 42 27 PSPで遊びたい人は『ヴァンパイア クロニクル ザ カオス タワー』の ダウンロード版もPSNで配信されているので、そちらも要検討。 キャラのアニメパターン削減については、当時のPS1実機の メモリ容量の少なさが足を引っ張っちゃってたのだと思う。 しかしもちろんゲームの面白さそのものは損なわれてはいないし、 この家庭用オリジナルのモードも充実しているので、2D格闘好きなら損はしないかと。 -- (名無しさん) 2011-03-02 16 07 42 リザレクションがリリースされた現在ではあまり必要ないかと -- (名無しさん) 2013-04-17 11 29 34 オリジナルのカラーエディットのVS画面の立ちアニメーションはぬるぬるしてるけど いざ戦闘が始まると容量の都合で結構カクカク動く。ただ戦闘のテンポ自体は悪くない。 上記のコメントの方々も言っている通り PS3ならネット対戦も対応してハンターもセイヴァーも出来る ヴァンパイアリザレクションが出ていて PSPやvitaでもセイヴァーをベースにヴァンパイアからセイヴァー2までの システムと性能を盛り込んだヴァンパイアクロニクルがダウンロード販売しているので 対戦メインならそちらを買った方が良い。 ただ、今作のみカラーとキャラネームをエディットできるモードがあり このカラーエディットを楽しみたいと言う人 もしくはどうしても安く購入したいと言う人はリザレクション、クロニクルより安価なので 購入の価値はあるかも。 ちなみにカラーエディットはカプエス2やKOFシリーズなど たまに格ゲーで見かける方法のカラーエディットになっている。 -- (koppe) 2013-04-24 12 51 58 ドノヴァンのEDがオリジナルっぽい -- (いの) 2013-11-24 21 22 59 オンライン対戦ないから買う価値なし -- (しょうた) 2014-04-05 07 00 22
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「さては遡ること某年12月6日。ダイスチャットに集まるは7人の男女。兵―つわもの―どもが勢ぞろい。」 解説 ニコニコMUGEN関係者によるTRPGオンラインセッションのリプレイ第五弾。 絵師や動画の作者、はたまた視聴者までもがプレイヤーとして参加。キャラクターはMUGENのものをTRPG用にデータ化して使っている。 詳細情報は第一回及び ストーリー統合外部板うp主集いのゲーム交流スレ を参照。 動画化されてはいないがセッションはかなりの回数行われており、今回は今までと趣を変えちょい怖めのストーリーとのこと。 若干ポンコツ化しているらしいが。 登場人物 GM(ゲームマスター) GM……コオロギ氏(Pixivで活躍中の絵師。『幻想郷きのこツアー』でとらを演じた。今回初GMとのこと) PL(プレイヤー) ブロントさん……江坂氏(ヴぁーんさんをこよなく愛するPixivで活躍中の絵師。『呪われた宝石』で汚い忍者を演じた他、GMもこなすベテランプレイヤー) サイキカル……kitune氏(storiesのうp主。MUGEN-TRPGではグスタフでお馴染み) カイン……暇人好人氏(現役TRPGプレイヤー。『巡り廻る輪の中で』にてユダイクを担当) マユラ……DAKEDO氏(プリニー奮闘記のうp主。MUGEN-TRPGではロゼのプレイヤー。リプレイ『巡り廻る輪の中で』好評連載中) 鷲塚慶一郎……鈴竜華氏( 奥様は幼女? のうp主。多方面で色んな事をしているらしい。『巡り廻る輪の中で』ではパチュリーを演じている) ベール=ゼファー……ナニコロ氏(温泉女王と温泉にのうp主。今回の動画制作者) NPC(ノンプレイヤーキャラクター) + ネタバレ注意のNPC リオン 高坂橙子 依頼人のおじさん 室井庄司 ドラゴンクロウ レイヴナス 対岸の漁師 黒子 エキストラ クロウ=セイル 右浪清 デスアダー命……見学勢 マート パール=クール 御大将 見学勢 エキストラマッチ 狂飢 ミミック 豪鬼 バルバトス・ゲーティア 青鬼 姫海棠はたて ユルング ピシャーチャ 偽死神五世 関連動画 【TRPGリプレイ】呪われた宝石【アルシャードガイア】 【TRPGリプレイ】突撃!隣の暴君宅【アルシャードガイア】 【TRPGリプレイ】幻想郷きのこツアー【アルシャードガイア】 【TRPGリプレイ】巡り廻る輪の中で【アリアンロッド】 【TRPGリプレイ】ムゲソ村【アルシャードガイア】 コメント + ネタバレ注意、および中傷書き込み禁止 二話目きてたので記事作成、今回PL人数多いなぁ。あとエキストラマッチ参加者数名分からなかったのでどなたか補完お願いします -- 名無しさん (2011-04-06 22 45 00) 関連動画の所タグサーチにしてみました。タグは[TRPGリプレイ]を使用。問題があるようでしたら戻します -- 名無しさん (2011-04-06 23 07 17) 一回参加してみたいなぁ…。そして見学者の正体が一人バレてる。 -- 無名 (2011-04-08 05 54 40) おお……ページが作成されている! いつも、ありがとうございます。感謝の次第です。あと、第三話作成しました。 -- うp主 (2011-04-09 23 54 33) 何か今回GMの独りよがりな語りが多いな。PL押えつけてるだろ -- 名無しさん (2011-04-10 01 55 31) 初GMなら、そう言う事もあるよ。自分も初めてGMをした時は緊張して、何とか話を進めようとして喋りまくってた。後で、恥ずかしくなった。 -- 名無しさん (2011-04-10 07 00 35) GMは面白いつもりかもしれんが、ネタがことごとく寒い -- 名無しさん (2011-04-11 02 13 49) 正直タイトルからしてもう寒いんだけど… -- 名無しさん (2011-04-14 17 57 51) ところで詳細情報は~の「ストーリー統合外部板うp主集いのゲーム交流スレ」のリンク先がないような気がするのですが修正って出来ますか? -- 無名 (2011-04-14 23 24 37) ↑↑本人は面白いつもりなんだろうな。こういう勘違いした奴が一番性質が悪い。クソGMに付き合わされる人達が一番気の毒だ。出来もしない事に首を突っ込まないで欲しい -- 名無しさん (2011-04-15 23 56 57) 参加者でもねーのに終わったことにいつまでグチグチ言ってんだよ。キンタマついてんのか、お前?つーかDisってんのお前だけじゃねーか -- 名無しさん (2011-04-16 00 12 09) ↑↑つーか文句あるなら見なきゃいいじゃねーか -- 名無しさん (2011-04-16 00 22 37) 少々書きそびれてしまいましたが、身内の不幸があり行動を自粛しています。もうしばししましたらば、更新を再開したいと思います。なので、もう少しだけお待ちいただければ幸いです。 -- 名無しさん (2011-06-07 21 25 50) 荒れ気味だったのでコメント隠しました。 -- 名無しさん (2012-04-29 16 51 08) 名前 コメント マイリスト
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LOVE DESTINY ◆d.NbLKVxEc 「このこぶたちゃんはおかいもの♪このこぶたちゃんはおやつたべ♪」 ダブバイクに乗ったコロンビーヌは、マザーグースを歌いながら東へ進んでいく。 既に飛行場を通り抜け、森の中を走っている。 特に行くあてなど無く、ただ何となく東に向かっているだけである。 「このこぶたちゃんは―あら、誰かこっちに向かってくるわねぇ」 前方から草木をかき分け、何者かが疾走してくる。 ただ、向こうもこちら側に気がついたのか、近づいてくる速度がだんだん遅くなってくる。 コロンビーヌはタブバイクの上で、蟲型人形を展開し構える。 愛しい勝の元に帰る為には、何者にも破壊される訳にはいかない。 勝てそうになければ逃げるだけである。 不意に茂みの奥から、声が掛けられた。 「…先程のマザーグース、コロンビーヌか?」 現れたのは、最も付き合いの長い自動人形の一人、パンタローネだった。 □ □ □ 相手がパンタローネと分かったコロンビーヌは、すぐさま共闘を申し出た。 エレオノールをフェイスレスの手から守る為には、自分かパンタローネ、アレッキーノの誰かが、生きて帰らなければならない。 その為、パンタローネに断る理由が有る筈は無いのだが…、どうも彼の返事は歯切れが悪かった。 「まったくどうしたのよ、パンタローネ。あたし達の使命はフランシーヌ様を守る事。そ して、笑わせて差し上げる事。まさか、忘れちゃったんじゃ無いでしょうねぇ」 そこでパンタローネは、何かに気がついた様だった。 そうコロンビーヌはまだ知らないのだ、あの事を。 「そうか、お前は私達より早く壊れた様だから、まだ知らないのだったな」 そこでパンタローネの表情が一変する。 喜色満面。 まさにその一言に尽きる程、彼の顔には喜びが満ち溢れていた。 それは、数百年一緒に過ごして来た筈のコロンビーヌが、始めて目撃し尚且つ困惑する程のものであった。 (パンタローネって、こんな表情も出来たのね…) そんな場違いな事を思うコロンビーヌを余所に、パンタローネは嬉々として語り始める。 「喜べコロンビーヌ、我ら最古の四人の悲願は叶えられた。私は見たのだ、フランシーヌ様、いやエレオノール様は、最愛の男性の前で遂に、遂にお笑いになられたぞぉ!」 その言葉を聞いた瞬間、コロンビーヌは感動に打ち震えた。 愛しの勝が、数百年も叶わなかった自分達の非願を、ついに達成してくれたのだ。 パンタローネが、あれ程の喜びを見せるのも頷ける。 彼はその眼に、エレオノールの笑顔を焼き付けたのだから。 そして、その場に自分が居なかったのが残念で堪らないが、そんな事はどうでもいい。 優勝して勝の元に帰れば、勝とエレオノールの笑顔で愛し合う姿を、これから幾らでも見る事が出来るのだから。 これでもう、自分は壊れる訳にはいかなくなった。 どんな事をしてでも、勝の元へ帰らなくてはいけない。 続けてパンタローネは語る。 「あの男はとても強い。奴ならばどんな敵からでも、エレオノール様を守り通すだろう」 (そうよ、マサルちゃんはとっても強いんだから) フェイスレスとの賭けにおいて、勝が自動人形や白銀‐Oと戦う様を、誰よりも一番近くで、そして一番多く見つめてきたのは自分なのだ。勝の強さを疑う事などある筈もない。 「まあ、そんな訳でやる事が無くなってしまっての」 その一言でコロンビーヌは、先程パンタローネの返事の歯切れが悪かった理由を察した。 エレオノールを守る事。エレオノールを笑わせる事。 この二つの使命を、果たす必要が無くなってしまったのだ。 これらの事を持ち出して交渉しても、食い付きが悪いはずである。 そうなるとアルレッキーノに対しても、何かしらの手段を考えた方が良いかもしれない。 「そうそう、肝心のエレオノール様の最愛の男性というのがの、これがまた意外でな。コロンビーヌ、お前も知っている男だ」 そんなのは言われなくても分かっている。 勝であると、コロンビーヌにはそれ以外に考えられなかった。 確かに勝はまだ小学生で、一見エレオノールとは釣り合わない様に見える。 意外と思われても仕方が無いと言えば、仕方が無い。 しかしパンタローネの次の一言が、高揚としたコロンビーヌの心を、一気に氷点下まで突き落した。 そう、彼の言った名前は才賀 勝などでは無く… 「―加藤 鳴海だ」 □ □ □ (―何で、何であんたがエレオノールの最愛の男性なのよ? それはマサルちゃんの役目でしょ?) 沸々と、コロンビーヌの心に湧き上がってくるのは、鳴海に対する怒り。 それは勝がかつて、鳴海からエレオノールを、突如現れたギイに持っていかれた感じたものに似ていた。 コロンビーヌの勘違いは仕方の無いものであった。 鳴海、エレオノール、勝、この三人の関係を正確に把握する自動人形はいない。 それは仕方のない事である。軽井沢の別荘の事件以降、この三人が一つの場所にいたのはほんの僅かな時間しかないのだ。 しかもその僅かな時でさえ、互いに言葉を交わす事すら無かったのだ。 鳴海のエレオノールに対する思いも。 エレオノールの鳴海に対する思いも。 二人の思いを知り、エレオノールの幸せを優先した勝の思いも。 コロンビーヌは知らない。 知っているのは、勝がエレオノールを愛している事。 勘違いしているのは、エレオノールが勝を思う心を、愛情だとだと思っている事。 故にコロンビーヌは、エレオノールが誰を一番愛しているのかを、全く考えていなかった。 勝とエレオノールは相思相愛。 そこに第三者が現れるなど、考えもしていない。 だからこそ、加藤鳴海とエレオノールが結ばれるという事が、コロンビーヌは認められない。 「認められないわ、何でマサルちゃんじゃ無いのよ」 コロンビーヌはタブバイクから降り、パンタローネの胸元の服を握る。 「マサルちゃんはエレオノールの事を愛していたのよ、だからあんなにボロボロになっても戦って、傷ついて…。」 コロンビーヌは勝に幸せになって欲しかった。 その為なら、自分は何でもできるし我慢もできる。 なのに彼女は気付かない、勝もエレオノールの幸せの為に我慢しているのだという事を。 「なのに何で、エレオノールの隣がマサルちゃんじゃないのよぉ!」 □ □ □ コロンビーヌの悲痛な叫びを聞きながら、パンタローネは思う。 コロンビーヌは、勝とフェイスレスの賭けによる戦い、それを間近で見ている内に勝るに 対して、主であるエレオノール様に対する敬愛に匹敵する、愛情の様なモノを得てしまったのかも知れない。 本来『最古の四人』は、フランシーヌの為だけに存在している。 その為、【フランシーヌの事などどうでも良い】と思考するだけで、自分の存在意義を見失い、機能停止を引き起こす。 だからコロンビーヌの今の思考は不味い。 加藤鳴海を否定する事は、現在彼らにとってのフランシーヌである、エレオノールの意思を否定する事に繋がりかけている。 今コロンビーヌは、勝の方に意識が向いていてその事に気が付いていないが、もし気がつけば自己崩壊を起こしかねない。 『最古の四人』の間に友情は無い。 ただ、同じ目的を持った同士である、それだけだ。 自己崩壊した所でドット―レの時と同じ様、馬鹿な奴…で済ませるはずだ。 なのにパンタローネは、コロンビーヌを助けようと思った。 それは仲町サーカスを始めとする、人間達に関わった事による思考の変化なのか、それはわからない。 ゲームに乗り、同僚を殺しても構わないとすら考えていた。 だが又とない機会だから、真正面から力比べがしたかったのかもしれない。 ともかく、コロンビーヌに加藤鳴海の事を認めさせなくてはならない。 しかし、愛情を知らないパンタローネに、コロンビーヌの説得は無理だ。 だから、一か八かあの時の事を話す事にした。 「コロンビーヌよ、私には愛情というのはわからん。だが聞いてくれ…」 パンタローネは語る。 フェイスレスの居る宇宙ステーション、そこに向かう為のスペースシャトルを、輸送している時のある出来事を。 それはシャトルを輸送している列車に、勝が合流した時の事だ。 鳴海の存在を知った勝が、どんな行動をしたか。 その時どんな顔をし、何を言っていたかた。 鳴海が宇宙に行けば、恐らく戻って来る事は出来ないであろう事。 最も、鳴海がシャトルに乗る事は無かったのだが。 だから、エレオノールの為に少しでも加藤と二人きりの時間を作ろうと、勝が加藤に会うのを止めた事。 勝がどんな顔をして、エレオノールの一番の幸せとして、それを受け入れたのか。 □ □ □ パンタローネの話を聞き、コロンビーネは悟ってしまった。 勝が自分と同じ事をしたのだと。 相手の事を愛しているからこそ、その人の幸せを願って自分の身を引く。 勝と鳴海の関係は知らない、だが勝は鳴海の事を兄ちゃんと呼び、慕っている。 その勝が、鳴海とエレオノールが結ばれる事を認めた。 その方が、エレオノールが幸せになれると信じて。 ならば自分がそれを否定する事は出来ない、それは勝の意思だ、それを否定する事は愛しい勝を否定する事になる。 「パンタローネ、アタシさぁこの殺しあいに乗ってたんだよねぇ」 パンタローネの服から手を離し、コロンビーヌは呟く。 今度はコロンビーヌが語りだす。 勝はエレオノールを愛している。エレオノールも勝を大事にしていた。 だから二人は愛し合っているのだと、結ばれるのだと思っていた。 そんな二人をずっと見守って行きたかったから、優勝の報酬を望んだ事。 そこで意外な事実を知った。エレオノールは鳴海と結ばれた事だ。 それは例え優勝しても、自分は勝とエレオノールの愛し合う姿を見れない。 それどころか、もし自分が元の世界に戻ったら、エレオノールと加藤の愛し合う姿を見守る勝を、自分は見守り続ける事になる。 「そんなのって、そんなのってぇ、…絶対に」 コロンビーヌは泣きたかった。 しかし、自動人形に泣くという機能は存在しない。 「いやあああぁぁぁ!?」 頭を抱え蹲り、絶叫するコロンビーヌ。 その姿はだれが見ても、殺戮の機械乙女には見えず、ただ絶望に身を震わす一人の恋する乙女であった。 パンタローネは、コロンビーヌに何て言葉をかけていいのか、分からなかった。 それでも何かできないかと、コロンビーヌに手を伸ばした。 □ □ □ ジョーは走る。ただひたすら走る。 己の罪の贖罪を果たす為、パンタローネを追い求めて。 「いやあああぁぁぁ!?」 不意に進行方向から、少女の悲痛な叫び声が聞こえた。 ジョーの脳裏に最悪の展開が浮かび上がる。 自分はパンタローネを追いかけてきた。 つまり、この辺りにパンタローネがいる可能性が高い。 ならばあの声は、パンタローネに襲われている、誰かの悲鳴ではないのか? そう思った直後、ジョーの目にある光景が飛び込んでくる。 頭を抱え震えて蹲る少女に、手を伸ばすパンタローネ。 即座に加速装置を起動させ、ジョーは吼えた。 「うおおおおぉぉぉ!!」 遅くなる時の中を最短距離で突き進み、パンタローネの腹部に拳の一撃を入れる。 次の瞬間、時の流れは元に戻る。 パンタローネは吹き飛び、後ろの木に叩きつけられた。 間に合った。 ジョーは最初にそう思った。 自分はもう何人も殺してしまっている。 望んだ事では無かったにせよ、これ以上自分のすぐ傍で命を取り零したくなかった。 だから、目の前の少女が殺される前に、駆けつける事が出来て安堵した。 「ここは僕に任せて、君は早く逃げるんだ」 …返事が無い。しかも動く気配すら無い。 先程と同じ場所で蹲ったまま、うわ言の様に嫌だ、嫌だと繰り返し呟いている。 ジョーはそれを、よほど恐ろしい目に逢って、ショック状態に陥っていると判断した。 彼女を立ち直らせている暇はない、ならばこの場から離れて戦わねば。 そう思うと、ジョーは度重なる加速装置の使用で、悲鳴を上げている体に鞭を打ち駆け出す。 右側から弧を描くように近づき、加速装置を発動させ一気に殴りつけた。 □ □ □ パンタローネは驚愕する。 確かに自分はコロンビーヌに気を取られ、あの男の接近を許してしまった。 だが、自分が反応も出来なかったというのはどういう事だ? しかし、このままでは不味い。 キッドと呼ばれる、不細工な自動人形を爆殺して見せた事から、おそらくあの男も自分と同様この殺しあいに乗っている。 このままではコロンビーヌが… 「ここは僕に任せて、君は早く逃げるんだ」 (前語撤回。殺し合いには乗っていないのかも知れぬ。ならば、コロンビーヌを巻き込まぬ様離れて戦うべきか) そうパンタローネが思っていると、ジョーが駆け出した。 しかしそのスピードは、パンタローネにとって決して速いとは言えず、充分に体勢を立て直して、迎撃出来る――はずだった。 次の瞬間、ジョーの姿が消えた。 そして、その直後に体に強い衝撃が走ると、パンタローネはまた後方へと吹き飛ばされた。 (馬鹿なっ! あの男のスピードは、この私でも捉えられんと言うのか…だが) パンタローネは、ジョーの加速装置のスピードに戦慄するが、同時にある事に気がつく。 傍から見ても分かるほど、ジョーの息がかなり上がっているのだ。 あの高速移動にはかなりの体力を消耗する、乱発は出来ないであろうと。 しかしあの攻撃は不味い、先程のキッドとロックとの戦闘のダメージに加えあの男の二発。 自身のダメージは大きく、かなり危険な状態である。 もってあと数発、あの見えない速度による一撃を喰らえば、自分は破壊されてしまうだろう。 それならばと、『深緑の手』をもちいて攻撃をする。 相手はどうやら素手。キッドを殺した時の爆弾はもう無い様だ。 距離をとっての戦闘になれば、相手は反撃出来ないだろう。 パンタローネの予想道理、ジョーは木々に身を隠しながら、『深緑の手』を潜り抜けるしかなかった。 パンタローネは左手の『深緑の手』のみで攻撃を続ける。 左手の弾が切れる。ジョーが接近する。 左手の再装填が完了したら即座に打つ。左手の弾が切れる。ジョーが接近する。 それを幾度か繰り返した時だった。 ある程度接近したジョーが、加速装置を発動させた。 その瞬間、パンタローネは垂直に飛び上った、人間では考えられない反射速度で。 まるで、はじめからジョーが加速装置を使うのが分っていた様に。 パンタローネは、『深緑の手』の左手の残りと右手の全弾、開天珠を自分がいた場所に叩きこんだ。 幾ら速く動けても、素手である以上限りなく接近しなくてはならない。 そこを狙って、パンタローネはありったけの攻撃を叩き込んだのだ。 眼下に移る爆炎、周囲にジョーの姿は見当たらない。 パンタローネは自分の勝利を確信し、胸に強い衝撃を受けた。 よく見ると、胸から腕が生えている。 背中はキッドとロックマンの戦闘において、一番激しく損傷した場所だ。 他の場所より、装甲が脆くなっていてもおかしくは無かった。 「やれやれ、この私とした事が…一本取られ、た――わ」 そう呟くと、パンタローネは意識を失った。 □ □ □ パンタローネを貫いた腕を、引き抜きながらジョーは着地する。 すると、そのまま大の字になって仰向けに倒れた。 加速装置の使い過ぎで、疲労は既に限界にまで達していた。 あの時ジョーは、パンタローネを殴りに行ったのではなく、後ろに回り込んでいたのだ。 グレイ・フォックスとの戦いにおいて、幾ら加速装置といえども、同じ相手に何度も使用すれば、見切られ可能性がある事を学んだ。 案の定、パンタローネは加速装置を発動させると同時にその場から離れ、自分がいるであろう場所にありったけの攻撃を叩き込んできた。 それを逆手に取ったのだ。 そして加速装置を使っての渾身の一撃で、パンタローネを貫いた。 ジョーは泣きそうな笑顔で笑っていた。 疲労で体は動かない。 だが、心は心地よい達成感でいっぱいだった。 キッドの仇は取れた。二人への償いは出来た。 さあ、少し休んだらドロシ―を埋葬してあげよう。 そう思うと、ジョーの顔に幾つかの影がした。 それは幾つもの銀色の杭。 「何…で、誰が?」 ふと、自分を覗き込む一人の少女と目が合った。 次の瞬間、動けないジョーに杭は無慈悲に降り注いだ。 □ □ □ ロックマンがそこに着いた時、あるのは二つの死体だけであった。 パンタローネと栗色の青年を追いかけてここまで来たが、肝心の二人が死んでいる。 「いったいここで――何があったんだ」 パンタローネは胸に穴を空け、そこから銀色の液体を流し死んでいる。 栗色の青年は、右腕に銀色の液体を付着させ、全身を何か貫かれ血を流し死んでいる。 この事からパンタローネを倒したのは、おそらく栗色の青年。 そして、青年も何者かに殺された? それを照明するかのように、青年の所から赤い――少女位の大きさの足跡が、パンタローネに向かって続いており、パンタローネの傍から赤と銀の混じった足跡が続いている。 おそらく、パンタローネと青年のPDAを回収したのだろう。 足跡は途中で切れており、車輪の跡が残っていた。 これではもう、追いつく事はできないだろう。 パンタローネが死んだ。 悲しいが、これで他の参加者が襲われる事が無くなった安心感もある。 栗色の青年が死んだ これでもう、事の真相を確かめる事は出来ない。はたして彼は殺しあいに乗っていたのだろうか? ロックマンは悲しい気持ちで一杯になった。 どうしてみんな、こうも殺しあいに乗ってしまうのだろうと。 もともと心優しいロックマンには、この現実はとても辛かった。 「――キッドの所へ戻ろう」 パンタローネは倒された。 キッドが自分の帰りを待っている。 今は唯一心を通わせれたキッドが恋しい。 ロックマンは来た道を引き返した。 □ □ □ コロンビーヌは、とても上機嫌だった。 さっきまで、ショックで震えていたのが、まるで嘘の様だ。 「まさか、パンタローネが殺れちゃうなんてぇ」 そう言うコロンビーヌは、どこも悲しそうではなかった。 むしろどこか、ワクワクしている様にも見える。 コロンビーヌがショックから立ち直ると、傍にパンタローネはいなかった。 どうやら他の参加者と、戦闘を行っている様だ。 なぜなら、少し離れた所から破壊音が聞こえてくるである。 ショック状態で無防備だった自分が、何故狙われなかったのか、コロンビーヌは不思議でならない。 パンタローネと戦っている青年が、自分を助けようとしている等、コロンビーヌは夢にも思わなかった。 闘っている二人に対して、コロンビーヌはどうしようかと考える。 やはり共闘するなら、パンタローネだ。 信頼はしていないが、長く付き合ってきた分だけ信用できる。 だから、パンタローネを援護しようと思った。 しかし、援護しようと思った途端に、パンタローネは殺れてしまった。 正直な所、何が起きたのかよくわからなかった。 栗色の青年が消えたかと思うと、パンタローネが飛び上がり、自分の真下に集中放火しだした。 すると、いつの間にかパンタローネの背後に回り込んでいた青年が、拳の一撃でパンタローネを貫いたのだ。 なんでパンタローネがあんな所を攻撃したのか、いつの間に青年が背後に回っていたのか すべて謎だった。 ただ、自分の目にも捉えきれない青年の動きは、明らかに人間のものでは無かった。 『最古の四人』であるパンタローネが負ける。 それは、この殺し合いにおいて、自分達に匹敵又は上回る実力者が存在する事を示している。 コロンビーヌも油断していると、寝首をかかれる事を知った。 幸いパンタローネを倒した青年は、さっきの戦闘で力を使い果たしたのか、あっさり倒す事が出来た。 だが、次もこう上手くいくとは限らない。 だからPDAは回収した。これからの事を考えると、支給品は多いに越したことは無い。 さてここで疑問が一つ、彼女は一体どうして立ち直れたのか。 それはあることに気が付いたからだ。 勝はエレオノールの事を愛している。 しかし、エレオノールは鳴海の事を愛し、鳴海もエレオノールの事を愛した。 その事を、勝はエレオノールの幸せの為に良しとした。 勝は自ら身を引いたのだ。 ここで一つ質問がある。 勝の隣には、今誰かいるのだろか? いや、誰もいないはずである。 本来、勝の隣になると思われたエレオノールが、自ら鳴海の隣へ行ってしまった。 それを勝も良しとしている。 なら、空いた勝の隣にコロンビーヌがいても何も問題は無い筈だ。 その事に、コロンビーヌは気が付いてしまったのだ。 それはまるで機械仕掛けの神が、自分に勝の恋人になれと言っているみたいだった。 コロンビーヌは先程まで怒りを抱いていた鳴海に、今は感謝さえしている。 エレオノールを愛してくれてありがとう。 エレオノールに愛されてくれてありがとう。 おかげで自分は、勝に愛してもらえる。 勝は自分の事を、どれだけ愛してくれるだろか? エレオノールに注げなかった分も、自分に愛を注いでくれるだろうか? 自分はたくさん勝に愛を注ごう。 勝が息絶えるその日まで、ずっと傍で愛してあげるのだ。 そうだ、鳴海とエレオノールが見てて羨ましくなる位、勝に愛を注ぐのだ。 いつか見た恋愛小説にも書いてあった。 恋愛は障害があるほど燃えるものだと。 今の自分が正にその通りだ。 愛しい勝ちゃんと結ばれる為、他の参加者を皆殺しにしなくてはいけない。 まだまだ人数は多いし、先は長い。 しかしちっとも苦痛に感じないのだ、これも愛の力だろうか? 支給品を確認してみると、面白そうなものを見つけた。 たずね人ステッキ。自分の探している人や物の方角に、7割の確率で倒れるらしい。 自分に協力してくれそうな、アルレッキーノに使ってみる事にした。 ステッキの倒れた方向を確認して、タブバイクを発進させた。 機械乙女は殺戮を始める。 ただただ、自らの愛を叶えるために。 【パンタローネ@からくりサーカス破壊確認】 【009(島村ジョー)@サイボーグ009破壊確認】 【残り40人】 【F-5 森林地帯/一日目・早朝】 【コロンビーヌ@からくりサーカス】 [状態]:健康、気分高揚 [装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはStrikerS タブバイク@ゼノサーガシリーズ [道具]:基本支給品一式×4、PDA(コロンビーヌ、パンタローネ、ジョー、セリオ) 不明支給品1~7個(確認済み1~7うち1~2は武器には見えない) 、 床屋セット(鋏、櫛、鏡) 開天珠@封神演義 たずね人ステッキ@ドラえもん [思考] 基本:殺し合いに勝ち残り、優勝者の報酬として勝の下へ戻る 1:優勝するため他の参加者を殺す。ただし危なくなったら逃走を図る 2:アルレッキーノ、と協力出来るようなら協力する 3:もしアルレッキーのと自分が生き残った場合、自分を優勝させてもらうように懇願する 4:やっぱり人間は殺せない。人形は壊す。お人形みたいな人間も壊す。 [備考] ※参戦時期は死亡後です(原作40巻) ※フランシーヌ人形はサハラ編時の偽者だと確信しています ※全てのゾナハ蟲(コロンビーヌらが吐き出すものも)には以下の制限が掛かっています。 また会場の全域には十分なゾナハ蟲が漂っています。 1:外部には一切の害はありません(ゾナハ病の感染や機械類のダメージなど) 2:コロンビーヌが自分の武器として使用するのには問題なく使用できます ※ゾナハ蟲の制限にはまだ気付いていません ※グラーフアイゼンはシグマによりハンマーフォルムに固定されています ※タブバイクは飛行できません、他にも色々制限されています ※たずね人ステッキがあったかは、次の人に任せます。 【支給品紹介】 【たずね人ステッキ@ドラえもん】 人や物を探しているとき、このステッキを地面に突き立てて手を放すと、目当ての人や物の方向に倒れる。 しかし、その的中率は70パーセント。 三時間につき一回のみ使用することができ、一度使用した相手には使えない。 ちなみに死体にも有効。 【ロックマン@ロックマン】 [状態]:全身にダメージ、右脇腹に打撲(痛みは引いている)、悲しみでいっぱい [装備]:ブルースシールド@ロックマン、ガトリング砲@サイボーグクロちゃん(弾薬三十~四十パーセント消費) [道具]:支給品一式、ダンボール@メタルギアソリッド、大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険 五光石@封神演義 [思考・状況] 基本思考:自分は壊しあいには絶対にのらない。 1:――キッドのところに戻ろう。 2:キッドの親友の王ドラを探す 3:エックスと赤いヘルメットのロボット(ゼロ)を捜して、シグマについて聞く 4:壊しあいを止めるための仲間を集める 5:ロボット同士の壊しあいを止める [備考] ※キッドの言葉は真実だと思っています(キッドは死んでいなく、自動的に修理される) ※自分達がタイムマシンのようなもので連れてこられたと推測しています 時系列順で読む Back 約束をしよう、あなたと Next 光り輝け勇気の力 投下順で読む Back 約束をしよう、あなたとNext 光り輝け勇気の力 052 決意をこの胸に――(前編) 009(島村ジョー) GAME OVER 052 決意をこの胸に――(前編) パンタローネ GAME OVER 049 真夜中のサーカス コロンビーヌ 071 アルレッキーノ、コロンビーヌの事情(前編) 052 決意をこの胸に――(前編) ロックマン 062 アナタノナキガラヲ…
https://w.atwiki.jp/cyborg_1000/pages/11.html
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